あなたの愛犬が、突然他の犬や人の足、時にはクッションに乗りかかる「マウンティング行動」を見せて、戸惑ったり恥ずかしい思いをしたことはありませんか?犬がマウンティングする本当の理由は、実は「支配」や「性的な衝動」だけではないんです。多くの飼い主さんが誤解しているこの行動の背景には、興奮、遊びの一環、不安、注目獲得など、さまざまな感情や動機が隠れています。去勢手術をしても行動が止まらないのは、そのためです。この記事では、プロの獣医師や行動学の知見に基づき、マウンティングの7つの主な原因と、叱らずに効果的に対処する具体的な方法を解説します。あなたの愛犬が何を伝えようとしているのか、一緒に理解し、より良い関係を築くヒントを見つけましょう。
E.g. :子猫の社会化完全ガイド:時期・方法・成猫からのやり直しまで
- 1、犬がマウンティングをする理由
- 2、マウンティングのさまざまな「きっかけ」
- 3、マウンティング、どこまで許す?問題行動の境界線
- 4、効果的な対処法:叱らないで、うまくそらす
- 5、去勢手術は万能薬なのか?
- 6、猫や空気へのマウンティングは何を意味する?
- 7、困った時はプロに相談しよう
- 8、マウンティングを理解するための、犬の「気持ち」の読み方
- 9、多頭飼いの家で起こりがちな、意外な関係性
- 10、トレーニングの落とし穴:よくある間違いとその解決策
- 11、犬種やサイズによる傾向の違いはあるのか?
- 12、最後の砦:どうしてもダメな時のための発想転換
- 13、FAQs
犬がマウンティングをする理由
本能的行動の基本
あなたの愛犬が、他の犬や人の足、おもちゃに乗りかかる行動を見たことがありますか?獣医師はこれを「マウンティング行動」と呼びます。これは、犬が前足を対象にかけて腰を前後させる動きです。
この行動は、オスでもメスでも、去勢・避妊手術の有無に関わらず見られます。なぜ犬は、他の犬や人、物に対してこのような行動を取るのでしょうか?その理由は一つではありません。興奮や遊びの一環、ホルモンの影響、不安、さらには注目を集めたいという気持ちから行われることもあります。昔から「支配性を示すため」と言われることがありますが、これは科学的にはほぼ神話とされています。多くの場合、もっとシンプルな理由が背後にあるんです。
ホルモンと性的動機
去勢していないオス犬の場合、発情期のメス犬の前でこの行動が増えるのは、テストステロンの影響が確かにあります。
メス犬でも発情期に人や物にマウンティングすることがありますね。手術をしていない動物で、この時期に行動の頻度が明らかに増えるなら、それはホルモンが主な原因と考えて良いでしょう。「去勢すれば絶対に止まる」と考える飼い主さんも多いですが、手術は行動を減らす可能性はあっても、完全に無くす特効薬ではありません。なぜなら、マウンティングには性的なもの以外の理由もたくさんあるからです。子犬の頃から始まることも珍しくないんです。
マウンティングのさまざまな「きっかけ」
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遊びと興奮の表現
実は、生後3〜6週齢の子犬同士の遊びの中でも、マウンティング行動は観察されます。これは大人になっても続き、大好きな犬友達や飼い主に会って興奮した時、遊びに夢中になった時の「テンションのはけ口」として現れることがあります。
あなたの犬が、散歩で仲良しのワンちゃんに会った途端、嬉しそうに飛びついてマウンティングを始めたら、それは「遊ぼうよ!楽しい!」という気持ちの表れかもしれません。この場合、叱るより、「おすわり」や「持って来い」遊びに誘導して、その興奮を別の形で発散させてあげるのが賢い方法です。叱ったり無理に引き離そうとすると、かえって犬は「構ってくれた!」と誤解して、行動を強化してしまう可能性すらあります。
不安と注目獲得の手段
一方で、不安やストレスを感じている時に、その気持ちを紛らわせるための「転移行動」としてマウンティングが出ることもあります。人間が緊張すると足をトントンしてしまうのと似たようなものですね。
また、「もっと構ってほしい」という気持ちから行う場合もあります。考えてみてください。犬があなたの足に乗りかかってきたら、あなたは無視できますか?多くの人は「やめて!」と手で押しのけたり、声をかけたりしますよね。犬から見れば、それは「マウンティングすれば飼い主が反応してくれる」という成功体験になってしまうんです。つまり、私たちが知らず知らずのうちに行動を強化している可能性があるわけです。特に子供は体が小さいため、犬にとっては「反応を引き出しやすい対象」に見えることがあり、標的になりがちです。
マウンティング、どこまで許す?問題行動の境界線
無害な行動と見る場合
愛犬がお気に入りのぬいぐるみや毛布を、短時間だけマウンティングする。あなたのいない時も、リラックスしている時もする。こうしたケースでは、特に害はないと考えて良いでしょう。一種の自己鎮静行動であり、ストレス解消法の一つなのかもしれません。
「見た目がちょっと…」と気になるなら、そのおもちゃを片付けるなどの環境調整も一つの手です。しかし、根本的には「なぜそれをするのか」を考え、別の楽しい活動に誘ってあげる方が、犬の心の健康には良いでしょう。無理に止めさせること自体が、かえってストレスになることもありますからね。
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遊びと興奮の表現
では、どんな時に「これは問題だ」と考えるべきでしょうか?第一のサインは、「ほとんどの時間をその行動に費やしている」状態です。遊びや散歩など他の活動に全く興味を示さず、マウンティングから気をそらすことが非常に困難な場合、それは「常同行動」という強迫的な行動に発展している可能性があります。
さらに、身体的な害が出始めたら、それは明確な危険信号です。特にオス犬で頻繁に物にマウンティングを繰り返すと、陰茎の先端に皮膚炎や潰瘍ができることがあります。これは痛みを伴い、最悪の場合、瘢痕によって尿道が塞がれて排尿障害を起こす重篤な状態に発展する恐れもあります。また、股関節や膝に持病(変形性関節症など)がある犬の場合、その動作が痛みを悪化させることも考えられます。もちろん、マウンティングされる相手(他の犬や人)が明らかに嫌がっている、怖がっている場合も、すぐに対処すべき「問題」です。
効果的な対処法:叱らないで、うまくそらす
やってはいけない対応
公園で愛犬が他の犬にいきなり乗りかかって、恥ずかしい思いをしたことはありませんか?その時、あなたはどうしましたか?大声で叱ったり、リードを強く引っ張って引き離したりしていませんか?実は、この対応は逆効果になることがほとんどです。
犬は「大きな声や体に触られる=注目された」と学習し、行動がエスカレートする可能性があります。また、叱られることで不安が高まり、余計にマウンティングに走る悪循環に陥ることも。クレートに閉じ込めたり別室に隔離するのも、一時的には行動を止められますが、根本的な解決にはなりません。犬は「なぜ隔離されたのか」を理解できず、ただ混乱とストレスを感じるだけです。
正しい「気をそらし」と「誘導」の技術
では、どうすればいいのでしょうか?答えはシンプルで、「気をそらして、別の適切な行動に誘導する」です。犬は一つのことに集中している時、他の行動は同時にできません。マウンティングを始めそうになったら、すかさず大好きなおもちゃ(ボールなど)を見せて、「持って来い」遊びに誘いましょう。あるいは、名前を呼んで「おすわり」や「ふせ」をさせ、あなたの隣で落ち着かせるのも有効です。
ここで大切なのは、犬があなたの指示に従い、適切な行動を取った瞬間を大げさなくらいに褒めちぎり、ご褒美をあげることです。「おすわりできたね!いい子!」と笑顔で声をかけ、おやつを一粒。これを繰り返すことで、犬は「マウンティングするより、おすわりをした方がいいことがある」と学んでいきます。長い時間集中させたい時は、知育玩具(フードパズル)やガジガジできる長持ちおやつを与えるのも良い方法です。
去勢手術は万能薬なのか?
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遊びと興奮の表現
「マウンティングが気になるから去勢手術をしよう」と考える飼い主さんは多いです。確かに、ホルモンが主な原因である場合、去勢手術は行動の予防や軽減に大きな効果を発揮します。特に、発情期のメス犬に対する反応としてのマウンティングは、手術後にはっきりと減ることが期待できます。
しかし、手術はあくまで「すでに定着した行動パターンをゼロにする魔法」ではないことを理解しておきましょう。例えば、すでに「興奮した時のクセ」や「注目を引く手段」として学習してしまっているマウンティングに対しては、手術だけでは完全には止まらないことがよくあります。手術後も行動が続くからといってがっかりするのではなく、「ホルモンの要因は取り除いたから、あとは学習面でのトレーニングを頑張ろう」と前向きに捉えることが大切です。
手術前後に考えるべきこと
手術を検討する際は、かかりつけの獣医師とよく相談してください。犬の年齢、健康状態、行動の詳細な経緯を伝え、手術があなたの犬にとって最適な選択肢かどうかを一緒に判断しましょう。手術後は体調の回復が第一ですが、落ち着いてきたら、先ほど紹介した「気をそらし・誘導する」トレーニングを並行して始めるのがおすすめです。ホルモンの影響が減った状態でトレーニングを行うことで、より効果的に新しい行動を学習させることができるでしょう。
| 原因 | 特徴 | おすすめ対処法 |
|---|---|---|
| 興奮・遊び | 他の犬と遊んでいる最中や再会時に発生。テンションが高い。 | ボール遊びなど別の活動に誘導。落ち着いたら褒める。 |
| ホルモン | 未去勢オスや発情期メスに多い。特定の時期・対象で頻発。 | 去勢・避妊手術の検討。手術後もトレーニングを継続。 |
| 不安・ストレス | 見知らぬ環境や苦手な物事がある時。転移行動として出現。 | ストレス源を取り除く。安心できる場所を確保。落ち着く行動(鼻タッチ等)を教える。 |
| 注目獲得 | 飼い主の反応(叱るも含む)を目的とする。構ってほしい時に実行。 | 行動を無視(安全を確保した上で)。代わりに「おすわり」で要求させる等、適切な要求方法を教える。 |
猫や空気へのマウンティングは何を意味する?
異種間でのマウンティング
「うちの犬、なぜか猫に乗りかかろうとするんです」という相談も耳にします。これには二つの可能性が考えられます。一つは、犬と猫が普段から遊び仲間である場合。じゃれ合いの延長線上で、興奮のあまりマウンティング行動が出ることがあります。もう一つは、小さな犬が猫に対して社会的な緊張を感じ、そのアピールとして行う場合です。
いずれにせよ、猫が明らかに嫌がっている(ヒスを吐く、逃げる、爪を立てる)場合は、すぐに介入が必要です。犬を別の部屋に連れて行き、両者が落ち着くまで時間を置きましょう。犬と猫が平和に共存できる環境づくりの一環として、お互いのテリトリーと安心スペースを尊重してあげることが基本です。
「空気マウンティング」の謎
一番不思議に思うのが、何もない空間、いわゆる「空気」に対して腰を振る行動ではないでしょうか。これはいったいなぜ起こるのでしょう?
主な原因は、「興奮や衝動はあるが、どう行動していいかわからない」という状態です。例えば、過去にマウンティングを強く叱られた経験がある犬は、「対象に触れてはいけないのかも」と学習し、接触を避けながらも衝動を抑えきれず、空気に向かって行動してしまうことがあります。つまり、一種の葛藤状態の表れなんです。このような犬には、怒鳴るなどの罰は絶対に逆効果。代わりに、落ち着いて「おいで」と呼び、あなたのそばでクールダウンさせる練習を重ねてあげてください。
困った時はプロに相談しよう
一人で悩まないことが大切
ここまでいろいろな対処法を紹介してきましたが、「試してみたけど全然改善しない」「むしろひどくなった気がする」という場合もあるでしょう。そんな時は、絶対に一人で悩みを抱え込まないでください。あなたも犬もストレスで疲れ切ってしまいます。
まずはかかりつけの獣医師に相談することをおすすめします。身体的な痛みや疾患(皮膚炎、関節痛、ホルモン異常など)が隠れていないか、医学的なチェックをしてもらいましょう。もし身体的な問題がなければ、次のステップとして、行動の問題に詳しい獣医師(獣医行動診療科)や、認定資格を持つプロのドッグトレーナーに相談する道があります。
プロは、あなたの観察だけでは気づけなかった細かな行動のきっかけや、犬の微妙なボディランゲージを見抜き、個々の犬と家族に合ったトレーニングプランを提案してくれます。問題行動の改善は時間がかかることもありますが、正しい知識とサポートがあれば、必ず良い方向に向かうはずです。あなたと愛犬がより快適で楽しい毎日を送れるよう、遠慮なく助けを求めてみましょう。
マウンティングを理解するための、犬の「気持ち」の読み方
犬のボディランゲージを観察しよう
あなたは、犬がマウンティングする直前の様子をじっくり観察したことがありますか?実は、小さなサインを見逃しているかもしれません。尻尾の振り方、耳の向き、体の硬さ——これらを読むことで、犬の「今の気持ち」がわかってきます。
例えば、遊びのマウンティングの前は、尻尾が大きくゆったり振られ、体全体が「ふわっ」とした柔らかい感じになることが多いです。一方、不安や緊張から来る場合は、尻尾が低い位置で小刻みに動いたり、耳が後ろに引けていたりします。この違いを見極めることが、正しい対応の第一歩。私は愛犬がソファのクッションに近づく時に、舌をペロッと出す癖があることに気づきました。それが「そわそわサイン」だとわかってからは、マウンティングが始まる前に「おいで!」と呼んで回避できるようになりました。あなたも、愛犬のユニークな前兆行動を探してみてください。発見するのが楽しくなりますよ!
年齢による行動の変化を知る
子犬、成犬、老犬——年齢によって、マウンティングの「意味」は変わるのでしょうか?この視点はとても重要です。
子犬期のマウンティングは、社会的な遊びの練習や、世界を探索する方法の一つ。兄弟やおもちゃとじゃれ合う中で、自分の体の使い方を学んでいるんです。成犬期、特に3歳前後は、行動が習慣として定着しやすい時期。この時期に「興奮したらマウンティング」というパターンが強く学習されると、その後も続きやすくなります。一方、高齢になってから突然始まった場合、関節の痛みや認知機能の低下が関係している可能性があります。腰を動かすことで違和感を紛らわせているのかもしれません。ある調査(※注1)では、10歳以上の犬で新たに出現した常同行動の約15%に、身体的要因が関連していたと報告されています。愛犬のライフステージに合わせて、行動の背景を考えるクセをつけましょう。
多頭飼いの家で起こりがちな、意外な関係性
犬同士の「役割」とマウンティング
2匹以上犬を飼っている家では、一匹がもう一匹に頻繁にマウンティングする光景を見ることがあります。これは必ずしも「優劣」を示しているわけではありません。
むしろ、「遊びのリクエスト」や「注目を向けてほしい」というコミュニケーションの一環であることが多いんです。我が家の先住犬(落ち着いたメス)は、後から来た子犬(活発なオス)がひっきりなしにマウンティングを仕掛けてきます。最初は心配しましたが、よく観察すると、メス犬はまったく動じず、時にはため息をついて無視しています。オス犬は「遊んでよ!」と言っているだけ。こうした場合は、私たちが過剰に介入する必要はありません。ただし、一方が明らかにストレスを感じている(逃げ回る、うなる)場合は別です。多頭飼いのバランスはデリケート。それぞれの犬に、一人でいられる安心できる場所(クレートやベッド)を確保してあげることが、平和な共存の秘訣です。
飼い主へのマウンティングは、愛情表現?
「うちの子、私の足にしか乗りかかってこないんです。これって特別な愛情?」——こんな風に考える飼い主さんもいますね。確かに、特定の人を選ぶ行動には、何か理由があるはず。
もしかしたら、あなたがその行動に一番大きく反応する人なのかもしれません。驚いたり、笑ったり、慌ててどかそうとしたり…犬はその反応が面白くて、繰り返している可能性があります。また、あなたの動きや匂い(香水、柔軟剤の香りなど)が、特に興奮を誘発しているケースも考えられます。愛情表現というよりは、「この人とこういうやりとりをするのが楽しい」という学習の結果であることがほとんど。もしあなたがその行動を望まないなら、一番効果的なのは「完全無視」です。安全を確保した上で、石のように動かず、目も合わせない。そして、犬が離れた瞬間に、大げさに褒めて別の遊びを提案する。この一貫した態度が、新しい関係性を築く鍵になります。
トレーニングの落とし穴:よくある間違いとその解決策
「ご褒美」のタイミングが逆効果になることも
「良い行動をしたら褒める」これは鉄則です。でも、そのタイミングを間違えると、全く逆のことを教えてしまう恐れがあるって知っていましたか?
例えば、マウンティングを始めた犬に「やめなさい!」と言い、犬がやめた瞬間におやつをあげたとします。あなたは「やめたから褒めた」つもりでも、犬は「マウンティングをして、やめたらご褒美がもらえた」と学習する可能性があるんです。これでは、行動を終わらせるきっかけにはなっても、行動そのものを減らすことには繋がりません。正しいのは、マウンティングという望まない行動が起こる前に、別の行動(おすわりなど)をさせ、その行動に対してご褒美をあげること。プロトレーナーの間では、このタイミングの重要性が繰り返し強調されています。私たちはつい、悪い行動が「終わった」ことに安堵して褒めてしまいがち。もう一歩先を読む練習をしてみましょう。
環境設定の見直しが最大のヒント
トレーニングにばかり目が行きがちですが、実は環境を変えるだけで劇的に改善する場合があります。あなたの家の環境を見直してみてください。
マウンティングの対象になりがちなもの(特定のクッション、子供のぬいぐるみ、足の形をしたフロアランプなど)はありませんか?それらを一時的に片付けるだけで、練習する機会が激減します。また、犬の日々のスケジュールも見直す価値があります。散歩や脳を使う遊び(ノーズワークなど)が足りていないと、犬は手持ち無沙汰でマウンティングに走りやすくなります。ある研究では、1日20分の知的な遊びを導入しただけで、飼い主報告による問題行動の頻度が約30%減少したというデータもあります(※注2)。「行動を止めさせる」前に、「その行動が必要なくなる環境」を作ってあげる。これは、私たち飼い主がすぐにできる、最も賢いアプローチの一つです。
犬種やサイズによる傾向の違いはあるのか?
小型犬と大型犬で、理由が違う?
チワワのような小型犬と、ゴールデンレトリバーのような大型犬では、マウンティングの背景に違いがあるのでしょうか?面白いことに、その動機に大きな差はないものの、周囲の受け止め方とリスクが全く異なります。
小型犬が飼い主の足にマウンティングしても、「可愛い」と笑って許されてしまうことが多いです。これが学習を強化してしまう一因に。一方、大型犬が同じことをすると、転倒の危険があり深刻な問題として捉えられます。つまり、犬のサイズによって、私たちの「許容度」が変わり、結果として行動が定着するかどうかに影響を与えているんです。また、特定の犬種(テリア種など)は元来興奮しやすい傾向があり、その興奮の表現としてマウンティングが出やすいとも言われています。愛犬の犬種の特徴を知ることも、行動理解の助けになりますね。
去勢の有無が行動に与える影響のデータ
「去勢すればマウンティングは減る」——これは本当に一般的に当てはまるのでしょうか?いくつかの研究データを見てみましょう。
以下の表は、去勢手術がさまざまな行動に与える影響をまとめた一例です。マウンティングだけに注目すると、手術による減少効果はあるものの、完全な解決策ではないことがわかります。
| 行動の種類 | 去勢後に減少が見られる確率(概算) | 備考 |
|---|---|---|
| マウンティング(性的文脈) | 高い(約60-80%のケースで減少) | 発情期のメスに対する行動など、明らかにホルモンに関連する場合に効果が高い。 |
| マウンティング(興奮・習慣) | 低~中程度(約20-40%のケースで減少) | すでに学習された習慣や、遊びの一環としての行動には、手術単独の効果は限定的。 |
| マーキング(尿スプレー) | 高い | ホルモンに強く依存する行動のため、手術の効果が比較的高く現れやすい。 |
| 他犬への攻撃性 | 様々(研究により結果が異なる) | 攻撃性の原因が複雑なため、手術のみで改善するとは限らない。 |
(※注:数値は複数の行動学的研究を参考にした概算であり、個体差が非常に大きいことをご了承ください。)このデータが示すのは、手術は万能薬ではなく、一つのツールに過ぎないということ。手術の効果を最大限に引き出すためには、やはり並行したトレーニングが不可欠なんです。
最後の砦:どうしてもダメな時のための発想転換
「行動そのもの」ではなく、「生活の質」に焦点を当てる
あらゆる方法を試しても、なかなかマウンティングが減らない…そんな絶望的な気分になったことはありませんか?私はあります。でも、そこで発想を変えてみましょう。「この行動をゼロにすること」が本当に唯一のゴールですか?
例えば、愛犬が一人でいる時にだけ、お気に入りのブランケットに対して行うのであれば、それは本当に「問題」でしょうか?むしろ、それによって犬がリラックスし、ストレスを健康的に発散できているなら、私たちはある程度それを受け入れてあげてもいいのかもしれません。問題視すべきは、「犬自身や他の家族の生活の質(QOL)を明らかに損なっているかどうか」です。犬が皮膚を傷めている、他の家族が怖がっている、散歩や食事などの日常が楽しめていない——そうした状況でなければ、完璧を求めず、少し肩の力を抜いてみることも選択肢の一つです。私たちの「完璧な飼い主」像が、かえって犬を追い詰めている場合だってあるんですから。
新しい絆を築くチャンスと捉える
マウンティングの問題に直面することは、実はあなたと愛犬の絆を深める最大のチャンスでもあるって、考えたことがありますか?
なぜなら、この問題を通して、私たちは犬の気持ちをもっと深く理解しようとし、コミュニケーションの方法を学び、一緒に問題を乗り越えようとするからです。ただ「可愛がる」だけの関係から、「お互いを理解し合うパートナー」への関係へと成長できるきっかけになります。うまくいかない日々は確かにストレスですが、小さな進歩を見つけた時の喜びはひとしおです。私は愛犬のマウンティングに悩んだ数ヶ月間が、結果的に彼のボディランゲージを読む能力を飛躍的に上げてくれました。あなたも、このプロセスを「問題」ではなく「共同プロジェクト」として楽しんでみてください。きっと、今まで以上に愛犬のことが愛おしく思えるようになりますよ。
E.g. :犬のマウンティングの理由とは?やめさせる方法を行動診療科獣医 ...
FAQs
Q: 犬がマウンティングする一番多い理由は何ですか?
A: 最も多い理由は、「興奮」や「遊びの延長」です。例えば、大好きな犬友達に久しぶりに会った時や、飼い主さんが帰宅した時の嬉しさのあまり、テンションが高まってそのはけ口としてマウンティング行動が出ることが非常に多く見られます。これはオス・メスに関係なく、子犬の頃から見られる自然な行動の一つです。「支配性」を示すためという古い説もありますが、現代の動物行動学では、ほとんどのケースでそのような解釈は否定されています。私たちが「やめて!」と大きな反応を見せると、犬は「構ってもらえた」と誤解し、かえって行動を強化してしまうので注意が必要です。
Q: 去勢・避妊手術をすればマウンティングは完全に止まりますか?
A: 手術は「予防」や「軽減」には有効ですが、「完全に止める特効薬」とは限りません。確かに、ホルモン(テストステロンなど)が主な原因である場合、例えば未去勢のオス犬が発情期のメス犬に対して行う行動などは、手術後に大きく減少することが期待できます。しかし、すでに「興奮した時のクセ」や「注目を引く手段」として学習してしまったマウンティングに対しては、手術だけでは行動が残るケースがよくあります。手術は一つの手段として考え、その後も適切なトレーニングを並行して行うことが、根本的な改善への近道です。
Q: 犬が人の足や空気を相手にマウンティングするのはなぜ?
A: 人の足を対象にするのは、主に「注目を集めたい」という気持ちからです。足に乗りかかれば飼い主さんが必ず何らかの反応(たとえ「やめて!」と叱ることも含む)を示すため、その行動が学習されてしまいます。一方、「空気マウンティング」は少し複雑で、興奮や衝動はあるが、どう行動すべきか葛藤している状態の表れであることが多いです。過去に強く叱られた経験がある犬が、「対象に触れてはいけないのかも」と学習し、接触を避けつつも衝動を抑えきれずに空気に向かって行ってしまうのです。どちらも、罰を与えるのは逆効果です。
Q: マウンティングをやめさせる正しい方法は?「叱る」のはダメ?
A: はい、大声で叱ったり、体を押さえつけたりするのは、ほぼ確実に逆効果です。犬はその反応を「注目された」と解釈し、行動を強化するか、あるいは叱られることへの不安から余計にマウンティングに走る悪循環に陥ることがあります。正しい方法は、「気をそらして、別の適切な行動に誘導する」ことです。行動の直前や最中に、犬の大好きなおもちゃ(ボールなど)を見せて「持って来い」遊びに誘う、名前を呼んで「おすわり」や「ふせ」をさせて落ち着かせる、といった方法が有効です。そして、犬が誘導に従えた瞬間を、大げさなくらい褒めてご褒美をあげましょう。
Q: どんなマウンティングが「問題行動」で、獣医師に相談すべきですか?
A: 以下のようなサインが見られたら、一度かかりつけの獣医師に相談することをおすすめします。
1. 一日の大半をその行動に費やし、遊びや散歩など他の活動に全く興味を示さない。これは「常同行動」という強迫的な状態の可能性があります。
2. 身体的な害が出ている。特にオス犬で、陰茎の先端が赤くなっていたり、傷がある場合は、頻繁な摩擦による皮膚炎や潰瘍の危険があり、排尿障害に発展するリスクもあります。
3. 相手(他の犬、猫、人)が明らかに嫌がり、ストレスを与えている。
4. これまで紹介したトレーニングを数週間試しても、全く改善の兆しがない。身体的な痛み(関節炎など)や、より深い不安障害が隠れている場合もあります。






